小さなお子さまのいるご家族にとって、家族行事の中でとりわけ大きなイベントとなる七五三。
子どもの成長を感じられる大切な節目です。
この秋、我が家の娘も3歳の七五三となる歳で、先日簡単な前撮りをしました。これからお詣りも予定しています。
写真館としても、お客さまから七五三に関するご質問をいただきますが、
今回その当事者となり、準備はこれで大丈夫なのだろうか?と思うことも。
そこで娘の着付けを担当していただいた小林さんに、七五三準備のポイントや着物を楽しむコツについて伺いました。
前編では、着物の選び方や当日までに用意しておくことについて、ご紹介します。
-そもそも着付け師さんへの依頼が決まったら、どんなやりとりをするのでしょうか?
まず日時、衣装、ヘアメイクの確認をします。衣装が決まっているのであれば、どんな衣装なのか教えていただきます。
受け継いだもの、レンタル、購入したもの、それぞれ注意点が異なりますので余裕があれば事前に一度お会いして、
直接確認できたら理想的です。遠方などで難しいようであれば、写真の共有でも大丈夫です。
まだ衣装が決まっていない場合は、こちらから提案させていただくことも可能です。
着付けのイメージをするためにお子さまの体型についても伺います。
体型に合うよう、着物の肩上げ、腰上げをしますが、そちらも済んでいるか前もって確認しておき、
必要であれば着物をお預かりして、別料金でお直しいたします。
ただ私の場合は和裁を学んだわけではないので、大切なお着物でしたら和裁士さんや、
裁縫が得意な方にお願いすることをおすすめしています。
他に、当日のスケジュール感や、着物の状態、小物は揃っているかなども確認します。
例えば、帯は”作り帯”か”結び帯か”など具体的なことや、着物だけでなくヘアメイクに関するイメージなどもお聞きして、
必要に応じたご提案をさせていただいています。
-着付師さんと上手にやり取りするためには、細かなことでも共有しておくと良さそうですね。
着物はどのように用意するのが一般的なのでしょうか。
購入の場合には、色々な選択肢があります。 呉服店やネットショップで新しいのもを購入したり、
最近では、リサイクルショップやフリマアプリでリユース着物を購入するという方も増えている気がします。
小物類も揃える必要があるので、セットになっているものだと安心ですね。
店舗で購入する場合は、その時に色々アドバイスしてもらえると思いますよ。
-着物選びのポイントを教えてください。
男の子でも女の子でも、まずはご実家やご自宅に眠っている着物があればそちらも選択肢に入れてみてください。
足りない小物類は購入できますし、汚れていたらクリーニングに出したり、 汚れをうまく隠したりして
着ることができるかもしれません。
好みに合わない着物でも、帯や小物、ヘアスタイルを好みのものにすることで解決できる場合もあります。
購入やレンタルで選択肢がたくさんある場合は、本人とご家族の好みにマッチした着物をある程度選んで、
その中からお子さまに選んでもらうといいと思います。
好みがあまりはっきりしない場合は、本人の好きそうな着物を親御さんがある程度決めて大丈夫だと思います。
-両親の着物選びはどうしたらいいでしょう?
こちらも同様に、ご実家やご自宅に着物があればそちらを選択肢に入れてみてください。
着物だけ、帯だけでも、手元にあれば活かしてみてください。足りないものはレンタルできますし、購入もできます。
基本的にはお好きな着物を着ていただいて大丈夫ですが、お祝いの日なので、お母さまなら訪問着や色無地のお着物、
お父さまは羽織袴やアンサンブルが良いと思います。
主役はお子さまなので、お子さまが引き立つような色柄のお着物がいいと思います。
レンタルの場合、ネットレンタルも手軽に利用できますが、 男性の着物は当日サイズ調節ができませんので、
サイズ選びが重要です。貸衣装屋さんでしたら実物を羽織って決められるのでサイズの間違いがなく安心です。
-衣装が決まったら、当日までに準備しておくことはありますか?
あとは肩上げ、帯揚げを済ませておくことですね。>レンタルやセットで一式購入された場合、ご自身で用意してもらうものはほとんどありませんが
補正用にタオルを4~5枚お持ちいただくようお願いしています。あとは肩上げ、帯揚げを済ませておくことですね。
女の子はヘアセットの後に着付けをする事がほとんどですので、当日は前開きの服を着てもらいます。
それから、着物や草履に事前にある程度慣れておくと当日がスムーズです。
写真を見せて、七五三で着物を着る話をしてもらったり、 実際に足袋を履いて、着物を羽織ってもらったりするといいと思います。
「ママも着た着物だよ、パパが着た着物だよ」
「〇〇の着物は、大好きなプリンセスの色の着物だよ」
「これを着たらみんながお祝いしてくれるよ」
「〇〇が元気に大きくなりましたって神様にお礼をする日だよ」 など話しておくと、お子さまも当日が楽しみになると思います。
実際、慣れない着物を着て、帯を締めて、歩きづらい草履を履くことは大変だと思いますが、
当日少しでも大変な気持ちを減らせるように、着物に少しだけでも慣れておくといいでしょう。
小林さん自身、中学生と小学生の3人の娘さんを育てていらっしゃるお母さん。
七五三準備は、単に必要な物を揃えていくだけでなく、子どもの気持ちに働きかけたり、寄りそったりしていくことが大切、
ということに気づかせくれました。
またご自宅に着物や小物がある場合は、たとえ全てが揃っていなかったとしても取り入れるのも良い思い出になりそうですね。
目で見ると気になる汚れも、写真に写るとほとんど気にならない、という場合も多いです。
家族全員がワクワクする気持ちで、本番を待ち遠しく思えたら素敵ですね。
後編では、七五三当日の注意ポイントや心構えについてお話を伺います。
– Column – 七五三後の着物のお手入れ
七五三の着物は、大きく分けて「正絹」と「ポリエステル」の着物があります。
『正絹』
光沢があり高級感があります。 トロンと滑らかな質感です。
通気性や保温性に優れ、絹は体にフィットし着崩れにくいです。
きちんと手入れをすれば、次の世代、その次の世代に受け継ぐ事ができます。 ただし、自宅で洗濯することはできません。
汚れてしまったらすぐに着物専門のクリーニングに
出しましょう。 遅れれば遅れるほど汚れは落ちにくくなってしまいます。
『ポリエステル』
安価で扱いやすいです。 通気性が悪く、絹に比べて少々ごわつきがあります。
滑りやすいので少し着崩れやすいです。
自宅で洗濯できます。お手入れも簡単です。最近は絹に相違ないポリエステルもあるので
一概にどちらがいいとは言い切れません。
どちらにしても一緒に選んだ着物は思い出に残ると思います。
保管については、必ず汚れを落としてから保管します。
絹の場合は防虫剤も必要です。 一年に一回は日陰に干して風を通すと理想的です。
管理が面倒な場合はリユースするのも一つの手です。