太田で自家焙煎珈琲のお店「アースライトコーヒー」を営む半田拓也さん。
同じく太田を拠点に、"本当の自分に還る場所"をテーマに、ヨガやボディワークのセッションをしている未菜実さん。
お二人の結婚写真を撮らせていただく機会に恵まれました。
自分自身、そして周りの人たちとの繋がりを何より大切にされるお二人は、仲間たちの協力を得ながら結婚式を自らでプロデュース。
会場手配、キャスティング、当日のスケジューリングなど一から準備し、こだわりとおもてなしの心溢れる特別な一日となりました。
信頼する大好きな人たちと一緒に作り上げた、お二人のウェディングについてお話を伺いました。
-なぜ自分達でウェディングをプロデュースしようと思ったのですか?
最初は一般的な式場の見学や相談会にも参加してみたのですが、そのスタイルが自分達にはフィットしないと感じました。
型式ばった挨拶、誓いの言葉、華美すぎる装飾会場などは、私たちが本当に求めるものなのかな、と。
華やかな式が終わった後に、多くのお花や食事が廃棄されるのは悲しいなと思い、自分のウェディングではそういったロスをできる限り出したくないという想いも強くありました。
結婚式をする意味を二人で考えた時、お世話になった家族へ感謝を伝えたい、というのが一番の目的だったので、会場設営などに多くの費用を割くなら、
両親に還元できるような形だったり、記念に残るものだったり、別の使い方をしたいという結論に至りました。
そういう経緯で自分たちで結婚式をできないかと周りを見てみると、気の知れた仲間にあれもこれも頼めることに気づきました。
自分たちの好きな人たちと一緒に式を作れる、とワクワクしました。
-準備にかけた期間は?
5月頃から式場見学に行ったりして、7月頃からは少しずつセルフウェディングの準備を始めました。
コンセプトに迷ったり、足りないものがないか心配になりつつも二人で相談しながら進めました。
ペーパーアイテムなども自分たちで作成しました。
-衣装はどうしましたか?
ドレスもタキシードも洋裁の仕事をしている私の母に製作をお願いしました。
母も、娘が結婚する時は手作りのドレスを着せることが夢だと言ってくれていました。
ウェディングらしいサテンの生地も見に行きましたが、その日限りでなく、式が終わった後も染めたりして何度も着られるようなデザインにしました。
また自分らしさを考え、天然素材で作ることにもこだわりました。
色んな夫婦に会ってみる旅(新婚旅行)として訪れた 「ひふみゆ」 さんで、 憧れの絲室さんのプロダクトを手に取る機会があり、
その方のInstagramに掲載されていたインドの布を扱っている方にすぐにコンタクトを取りました。
平和を願って作られている手紡ぎ手織りのオーガニックカディコットンを届けてもらい、レースと合わせてドレスに仕立てました。
ドレスもジャケットも、母と一緒に型紙から仮縫い、調整を何度も繰り返して作りました。
細やかで丁寧な母の仕事をじっくり横で見ることができ、ドレスができるまでとても良い親子の時間を過ごせました。
-会場選びについて、 ポイントはありましたか?
mealsさんはわたしの成人式のお祝いをした場所であり、二人で初めて食事した思い出のお店です。オーナー夫妻もすごく素敵な方で、ぜひお願いしたいと思いました。
車椅子の祖父が参加できるよう車椅子が通れること、ゲストの移動距離の負担が少ないところ、という条件にも合っていました。
結婚式場のように改まった空間ではなかったので、ゲストとの距離感も近く、コミュニケーションもたくさん取れ、参加した方たちもリラックスして食事を楽しんでくれているようでした。
衣装やお花などの装飾、お酒なども持ち込みをできたのもありがたかったです。
結婚式に合わせたワインをvinplusさんに一つ一つセレクトしてもらいました。僕が気に入っているナチュールワインを、皆と一緒に美味しく飲めて嬉しかったです。
-会場のお花やフラワーアイテムは?
お花は私たちの出会いのきっかけを作ってくれたkohanayaさんにお願いしました。
なるべくロスフラワーが出ないようにテーブルごとに選んだ花器に、シンプルにお花を生けてもらいました。
ブーケとブートニアは秋らしいものをオーダーしました。
ブーケを持った手元だけのカットや、椅子に置いてあるカットなどが写真に残っていて嬉しかったです。
それと両親への感謝の品として、生まれてから結婚式までの日数の入ったキャンバスリースをお願いしました。
-式についてこだわったことを教えてください。
これまで関わってくれた皆さんに“感謝の気持ちを伝えること”、“これからどう生きていきたいか宣言すること”を大切にしたかったので人前式にしました。
誓いの言葉も、これからどんな夫婦・家族になっていきたいかを話し合って、二人で決めました。
結婚の証として、ゲストの指スタンプで作るウェディングツリーも外せないアイテムでした。
デザインは作家のバーズさんにお願いしました。
太い幹はどんな季節や状況にも順応していく強さ、空に向かって伸びる枝は生命力と発展していく人との繋がり、枝につく実は、これからの豊かな実りを。
健やかに脈々と続いていく循環と拡がりの意味が込められています。
ストーリー性があり、飾っても美しいデザインに仕上げていただきました。
全員での集合写真も外せない項目でした。
写真については自分たちのカットはもちろん、親族やゲストのカットもあると、自分ちでは見ることのできなかったドラマを後で振り返ることができて良かったです。
会場の音楽は、自分たちの思い出の曲や、僕が作曲・演奏した曲を流しました。
-スタッフや運営を、 知人にお願いをしてどうでしたか?
とても心強かったです。
司会をお願いしたひのめさんは、婚約を一番に報告した友人であり、計画の段階から相談に乗ってくれました。
私たちのことをよく理解してくれる人がずっとそばにいてくれて、当日もとても安心できました。優しく太陽のような声で会場の雰囲気を明るくしてくれました。
またひのめさんの妹でヘアメイクをお願いしたヒコホさんとも繋いでくれました。
会場に入りゲストの到着を待つ間、緊張とこれまでの思い出が蘇り涙が出そうになった時、「今のうちに泣いておいていいですよ」と静かに見守ってくれ、
メイク直しの度にいつもホッとする言葉をかけてくれました。
静かな強さの中にある優しさに何度も救われました。
衣装、ヘアメイク、料理、アイテム、空間。全てを自分たちの大好きな人たちと作り上げることができました。
-ウェディングの準備を通して関係性に変化はありましたか?
お互いの家族のこと、心地よいお金の使い方、どんなことを大切にしたいか、とにかく二人で話し合いました。
感覚的なことを言葉にするのは時間がかかったり、うまく伝わらなかったりしましたが、自分たちの大切にしたいものを共有していく話し合いのプロセスは、本当に重要な時間となりました。
-一つ一つに、意味と繋がりがあった式だったのですね。
華美ではないし、完璧ではなかったかもしれないけれど何一つとして妥協したものはありません。やってよかったと自信を持って言える式でした。
人との繋がりをとても大切にされるお二人。 お会いしてみて、その朗らかな雰囲気と思いやりあるお人柄に、たくさんの人たちが惹きつけられる理由がよくわかりました。
同時に揺るがない信念と行動力を持ち合わせておられ、私自身もすっかり魅了されてしまいました。
そんなお二人の大切な節目に立ち合わせていただき、とても幸せに思います。